Tokyo mechanical keyboard meetup vol.3 スライド前編
かなり遅い掲載になってしましましたが、9月3日(日)に六本木コードクリサリスにて開催されたメカニカルキーボードのmeetupに参加&自作キーキャップ関連のショートプレゼンをしてきました!
Tokyo mechanical keyboard meetup(tokyomk)って?
自作キーボードの沼に浸かった人達のオフラインな集い。オリジナルPCBやフレームなどから創ってるヤバいガチな人たちからキーキャップを取り換えてるライトな人たちまで楽しめるサイコーなイベントです。みんな絶妙に方向性違うとこもありますがそんな違いも楽しみあえるところが素晴らしいです。
当日プレゼンで使った資料の紹介 - 前編
テクニック的なところにはほとんど触れていなんですがとっかかりとしては参考になるかも?しれない要素もあるので全公開(一部問題表現があるところはモザイク)します。
1/20 表紙
スライドを作ったのは前日の夜(飲み会の後)だったのでかなり雑です。すみません。
左の写真はデザフェス春に向けて量産中の様子、右の写真はシリコン型を作る際に試行錯誤して湯道を細かく作ってる様子です。
2/20 自己紹介
特に説明はしませんが、自作キーボードは色んな職種の方が嗜んでるようです。なので気軽に沼に落ちると良さそうです。「そんなにキーボードに金かけてどうするの?」って言ってくる人には「楽しいんだからいいじゃん」って真顔で言うかスリッパでひっぱたいて(ほんとにやると喧嘩になるので肩パンくらいで)やりましょう。
3/20 なぜ「自分で作ろう」と思ったのか
高いんです。基本的に。送料もかかるし仕方ない、とは思いつつも高いんですね。しかし自分で作ればさらに気づくんです。「あれ?これ一個作るのにいくらかかったっけ?」って。でも自分で作ったキーキャップを手に取ったときは結構表現できないくらいに嬉しいんですよ。プライスレス。
単純にかわいいんですよ、色がついてるキーキャップって。
9月頭にはまだなかったのですが最近はTALP KEYBOARDさんで国内購入できるようになりました。今後も国内ショップが増えるといいですねぇ・・・
備考:Artisan keycap(髑髏や動物をモチーフにしたりしてるどちらかというと見て楽しむキーキャップ)が爆裂高い理由ですが、自分で作ればおのずとわかります(時間換算すると1,000円台でもかなり安い方です)。
4/20 最初はUVレジンを使って!
何かライトな手法はない物か?と思ってすぐ出てきたのが、UVレジン。UVライトを一定時間照射するだけで硬化する中々便利な素材で百均ですぐ手に入ります(お店にもよりますが・・・)。それと併せて、お湯につけると柔らかくなるおゆまるも百均で手に入ります。便利な世の中ですねぇ・・・
肝心のUVライトですがAmazonとかでネイル用の機器が安価で手にはいります。たとえキーキャップ作りで使わなくなってもネイルにいかせますね!
5/20 UVレジンの限界を感じるとともに・・・
UVレジンの硬化の仕組みとして、光が樹脂の中を通過しないといけないようで着色料を入れると光が通らなくなり、硬化不良がかなり起きやすくなります。もちろんそれに対応した着色料(ガラス質?の着色料)もあるようですがやはりニッチなアイテムなので多少値が張ります。
また、おゆまるくんの成形コントロールも難しいので表面のディティールにこだわろうとするとかなり厳しいと思います。ディティール修正に研磨加工を行っても正直厳しいかな・・・といった感触でした。
写真は、硬化したと思いきや押すと中から硬化不良のUVレジンがジュルっと出てきてしまった・・・という悲惨な状態です。
6/20 デザフェス春に向けたキーキャップ制作
このままやっても失敗作しかできないーっとなってそのままやる気が消沈しそうだったので、なぜかTOKYOデザインフェスタの春場所(キャンセル枠待ち)と夏場所に申し込みました。人間期限が決まらないとやる気が起きません。しかしこのこの時点(1月中旬ごろ)では当然まともなものは一個もできておらず。
しかも中々自作キーキャップをやってる人はこの時期にはほっとんどおらず。情報も完全に自己流で行くしかないという状況でした(いまもそんな感じですが)。
とかなんとか言っているうちに春のキャンセル待ちに受かりました。
7/20 PROTO1.1のコンセプト
元々自作を始めようと思った理由の中に「カラフルなのかわいい!」という理由があったので色付けにはこだわって色々なカラーのキーキャップを作ろうと思ってました。
あと凄い変なキーキャップにしてしまって実用性からかけ離れても嫌だったのでいたってノーマルな形にしようとも思いました(がちょっとハイプロ気味すぎてワンポイントとしてじゃないと使いづらいという結果に)
ちなみに名前のPROTO1.1というのは最終形の名前で、ここに到達するまでに数バージョンあった名残です。
8/20 買った道具、使った素材などなど
レジンキャスト(ホワイト、クリア)
取り扱い注意な化学薬品なので避けたかったけど、どうしても避けては通れなかったレジンキャスト。着色したいので色に影響がないプレーンなカラーを選びます。今回は2液混合して、2-3分で硬化するタイプのものを使っています。気温や湿度でキャスト結果が大きく変動します。
型取り用シリコン
硬化時に色つきのものとかありますが、透明のを選んだ方が良いです。割高ですが、透明のを選んだ方が良いです、本当に。
あとシリコン型を作る際にオスとメスの型が融合しないように離型剤というものが必要です。これは実店舗ならシリコンの近くにおいてあると思いますし、アマゾンなら関連リンクに入っているはずなので必ず買いましょう。
マーカー用インク
(個人的に)マジックインキの補充液を使います。メリットは色数が多いこと。デメリットは気泡がかなりできやすくなったり、硬化後の色が直前の色と全く違う結果になるという事くらいでしょうか。あとアマゾンとかで色数揃わないので自分の足で探す必要があります。
ちなみに見た目で混ざっているように見えても意外と混ざっていなかったりするので、ものすごい一生懸命混ぜたほうが良いです。
もちろんレジンキャスト専用の着色料も販売されてますが何かとすれ違いが起きてて試してません。
粘土やパテ等
複製する大本を作るための素材です。パテはシンナー臭いけどすぐ固まります。パテは種類によって特性が異なるので状況や自分の好みで選ぶといいんじゃないでしょうか。とりあえず漠然と塊を作りたいときは「モリモリ」とかの硬化剤が添付されているタイプのパテを使うと速いんじゃないかしらと思います。
石粉粘土は比較的安全ですが、乾くのに時間がかかるのでそこがちょっと面倒かもしれないです。固まるとカッチカチになります。あと研磨時の粉の粒子がかなり細かいので注意が必要だと思います。
パテも粘土もそうですがカチカチになると切削時に結構まじで危ないのでちょっと加工しやすいくらいの硬さの時に一気に進めるのが良いです。
切削道具
無限にあるので本当に好みのものをどうぞ!やすり系はかなり荒い金属やすり(木工用等)を持ってると最初ザクザク進められるのでお勧めです(手をザクザクいかないように注意)。
液体混合用の紙コップや割りばしなど
いくらあっても足りないので百均で買いだめしましょう。
赤字のやつ
だいたい察しがつくと思いますが、結構強力なガスとか発生するので換気が十分にできない環境での自作はお気を付けください。
また一人暮らしでない場合、同居人をも巻き込む可能性があるので理解してもらう上でもこういう気遣いはあったほうが幸せかもしれません。
9/20 ぶちあたった問題
表面加工:シリコン型は非常に万能で原型の表面加工を「ほぼ完璧に再現」します。なので原型の表面に落ち度がないレベルまで仕上げる必要があります。コンパウンドで超絶つるつるしたり、ゲームボーイのようにザラザラっぽくする等。意外とパテの表面の靭度は高くないので、お好みの表面に仕上がったらシリコンで型取りするまで傷つかないよう慎重に取り扱う必要があります。
軸受け部分成型:CherryMX軸用の軸受け部分はかなりの精度で作らないとスカスカですぐ抜けてしまうorそもそも入らない事が起きてしまうので、最初は既製品キーキャップを生贄にして軸を作るのがお勧めです(写真一番左)。
気泡問題:自作キーキャップ界隈ではおそらく永遠の課題となる気泡問題です。これがあるとキーキャップが脆くなってしまうのでなるべく気泡が混入しないようにする工夫が必要です。あとクリアキーキャップだと品質低下が懸念されます(デザインとして気泡表現なら全然OKだと思います!)。
真ん中の写真は、1/20のスライドで湯道確保した型を使ってキャストしてる様子です。
右の写真は、2色のレジンキャスト(透明)を硬化途中に混合させてキャストしたものですが大きな気泡が入った失敗例です。
10/20 最終兵器
実はデザフェス春開催日一か月を切ったタイミングでまともに出来上がったキーキャップは数える程度しかありませんでした。というのも最適な型の形がいまだ手探りだったという事やレジンキャストが湿気を吸収し始めていたという事等が停滞の原因になってました。
11/20 最終兵器たち
気泡問題解決に向けての工夫(解決ではない):まずは、湿気からくる細かい気泡です。レジンキャストは空気中の湿気を取り込むとキャスト時に気泡が発生する性質があるようです。どうも理不尽な気泡がでてきたら、湿気を疑ってみても良いかな?と思います。
細かい気泡の場合、「消泡剤」という化学薬品をレジンキャストに混ぜてみましたが目に見えて気泡の減りが確認できました(残念ながら画像のものではないです)。消泡剤は何種類かあるようで効果の度合いも商品によって異なるかもしれないです。
大きい気泡の場合、透明のシリコン型を利用すれば硬化前の段階でどんな気泡が混入しているかがわかるので非常に効果的です。
あと雑なコツとしては気泡は基本的に上に上がっていくので型を置いておく向きによって気泡が集まる面が変わるのでゴニョニョ・・・という感じです。
(モザイク部分は大人の事情で伏せてます。加圧法と減圧法の話ですが、個々人試したい方はググってみてください。自己責任ですが・・・)
12/20 こうして出来上がったPROTO1.1
そんなこんなで出来上がったのがこんな感じの色とりどりのキーキャップです。全てアナログな着色なので全部微妙に色が異なるのがまた自作の面白いところだなぁと思います。
長くのでスライドの後半はまた今度に!
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